「剪定から芽吹きへ ― 杜仲畑、春の装い」

杜仲の栽培

生命感に満ちた季節のはじまり

新緑の風が心地よい季節になりました。
冬の静けさから目覚めた Minowa Tea Garden の杜仲畑は、やわらかな陽射しを浴びながら、新しい命を育む準備を進めています。
杜仲の木々も静かに力を蓄え、芽吹きの季節を迎えました。

芽吹きを導く春の手入れ

杜仲畑の一年は、剪定から始まります。
1月から2月にかけては、枯れた枝を取り除いたり、幹のうろ(空洞)の処理を行い、3月に入ると本格的な剪定作業に移ります。

冬の間に伸びた枝を丁寧に整えることで、春に芽吹く新芽にしっかりと栄養が届くようにします。
この剪定作業は、健康な杜仲の木を育てるうえで欠かせない大切な工程です。
木の状態を一本一本見極めながら、どの枝を残すか慎重に判断します。
杜仲は枝を多く残しすぎるとその年に枝が茂りすぎ、木に大きな負担がかかってしまうため、思いきった剪定が必要になります。
それは今年のためだけでなく、来年以降の枝張りや木全体の健やかな成長を見据えた、未来につながる手入れでもあるのです。


年ごとに異なる木の状態と向き合いながら、数年先の姿を思い描いて剪定していく…そんな、静かで繊細なやりとりが畑には広がっています。

芽出し肥の施肥

今年は天候の影響などで、剪定の進みが遅れ、例年よりも遅れて芽出し肥を施すことになりました。
作業は3月末にようやく完了し、春を迎える準備が整いました。

使用した肥料は、有機JASに対応した肥料もみ殻堆肥、そして自家製のコンポストです。
これらを使うことで、自然環境に優しく、健康的な土作りを進めています。


芽出し肥は、木が元気に芽吹くために欠かせない栄養源であり、来季に向けてしっかりとした土壌を維持するための重要な作業です。

芽吹きの季節

4月に入り、剪定された枝の先から、やわらかな若葉が次々と顔を出し始めました。
朝露をまとった若葉が朝日にきらめき、風にそよぐたびにやさしい緑の波が畑を包みます。
日差しをたっぷり浴びて、緑は日に日に色濃くなり、冬の静けさに包まれていた畑も、少しずつ命の気配を取り戻していくのがわかります。


ゴールデンウィークを迎えるころには気候もすっかり春めき、杜仲の畑は生命感に満ちた新緑に覆われ始めます。


静かに、しかし確かな歩みで、自然のサイクルが動き出しているのを感じる季節です。

この緑が、夏にはさらに力強く成長し、やがて収穫の季節へとつながっていきます。
畑とともに、今年もまた一歩ずつ歩んでいけたらと思います。

最後に

毎年繰り返されるこの流れですが、芽吹く姿を見るたびに、生命の強さと美しさに心を動かされます。

やわらかな風に若葉の香りが混じり、陽射しに透ける緑が揺れると、春の訪れを五感で感じます。

次回は、初夏に向けた畑の手入れや、新芽の成長の様子をお届けします。

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